僕は電車に乗った。比較的大きな駅だった。左の方に赤い電車。向こうに新幹線が走り去っていく。速い。あの線の先にもきっと色々な想い出を持つ人々がいて、色々な想い出が運ばれているのだろう。そして電車は一本の線路へと移る。軒が近くなった。生活臭い。でもそれも心地よい。そしてひたるうち田畑が増える。山々は近づく。陽は確実に昇っていく。
―――起
山々は近づいた。温泉町に入ったようだ。軒は田畑へと変わった。そしてそれは木々へとまた変わる。青々とした木々の向こうにはさらさらときれいな水をたたえる川。僕もあんな風にゆっくりきれいに、しかし確実に強く流れて行ける。そんな人間になりたい。急に目の前の光景を遮る物があった。トンネル。気付くともう山の中。知らない人の笑い声。トンネルを重ねる。山はいつまでも続く。同じ景色はいつまでも続く。でも、飽きは来ない。
―――承
一つの駅だった。嘘のように山が遠ざかる。盆地。周りにまた田畑が広がる。そして軒が近づく。電車に乗る人も増えてきた。制服の姿も見える。前に座ったおばあさんは地元の人のようだ。旅人に接する温かなほほえみは心を和ませる。こちらの笑顔を自然に引き出してくれる。ぎこちなさもなく。家にいるような安らぎ。しかし窓を開ければ動く景色。いつの間にか同じ笑顔を作っていた自分。旅先の見ず知らずの知人は、いつしか僕の心を開く。本当に求めるべきは何。この人はそれを教えてくれるのだろうか。
―――転
電車は進む。
右にも左にも山が続く。
眼下には街が広がり、田畑と川が見える。
不意にここの人たちの声が聞こえてくる。
それはいつものありふれた会話だった。
それは電車とレールが生み出す軽快なリズムだった。
音が風となって体を吹き抜ける。
あたたかい。
心地よい。
いつまでも、
ひたりたい。
求めていたもの。忘れていたやすらぎ。忘れていたなつかしさ。
求めていたもの。人の、人と人とのあたたかさ。何気ない日常。
求めていたもの。きっと、答えは出た。何のことはないんだ。
求めていたもの。それは……
―――結
言い訳高校のときに書いたものです。詩ともただの文とも取れますけどね。僕は詩として書いたつもりです。あえて改行させなかったんですけど。
さて、どこのことを歌っているのかは、分かりますよね。でも本当に起承転結が揃ってるんだよな、あの線は。五能線も起承転結があるけれど、こちらは特に「転」がしっかりしてるから凄いよね。
内容は、まあそのままです。始めてこの地に赴いたときの感動を表したつもりです。僕は「旅先の見ず知らずの知人」というニュアンスが結構気に入ってます。う〜ん、なんか、好きですね。
「結」では答えを書かないまま終わってます。別に答えが出てないわけじゃないですよ。当時は確かに言葉に言い表せなかったかもしれないですけどね。でも「旅の中に求めるもの」の答えはちゃんと出ていました。言葉にはしない方がいいのかもしれないなんて思ってたんですけどねぇ。
え? ちゃんと答えを言えって? 下にある詩「僕は旅に出る」を読んでみて下さい。明確にこれだという言葉は今も無いのかもしれないですねぇ。答えは心で受け取ってください。あ、簡単にわかる方法もありますよ。行く事です。ここへ。
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