医療講演会

平成14年10月20日 東京障害者福祉館にて二分脊椎の排便管理についての医療講演会が行われました
講師は順天堂大学医学部付属順天堂医院より小児外科の盛岡 新先生がきてくださいました
この先生はナオキの担当の先生ですが普段あまり聞けないお話も聞けてとてもよい講演会だったと思います


ここで少しレポートを含めた資料のまとめをして少しでも皆さんのお役に立てればと思います
排尿管理の問題はよく講演されますが排便管理の事については珍しいので・・
(はレポートしていての感想)


二分脊椎の排便管理について

1.直腸肛門の機能障害(膀胱直腸障害)について

@便による直腸の膨らむ刺激を感知できない=知覚障害→便意の消失
肛門を閉める事が出来ない=肛門括約筋の運動障害→便失禁

*便の排出障害
これに加えて二分脊椎では、腹直筋の筋力低下があり、排便時に充分な腹圧がかけられないこと、さらに脊椎損傷の部位により個人の程度差はあるが、
大腸の左半分(肛門からS状結腸、下行結腸の部分)の腸の動きが悪い事もうまく排便出来ない理由となる

*便失禁
上記の理由から大腸の中は便の水分が吸収されコロコロとなりぎっしり詰まってしまう
そうなると食事により新たな便が大腸に送り込まれると直腸に会ったものが押し出されるので便失禁となる

*下痢
肛門括約筋の働きが弱いため下痢便では我慢が出来ず絶えず便失禁となる
下痢になる原因としてはお腹の風邪、食べすぎ、冷えなどのほか、便秘が続いて腸炎となり激しい腹痛を伴う場合がある
(下痢になるメカニズム)
体の水分が多い事(胃液、胆汁、小腸液、体の粘液など)水分の取りすぎで体内に吸収されにくい場合、固形物が水分より多い場合は下痢になる
また、腸の動きが良すぎても下痢になる場合がある(ナオキなどのように緩いウンチが多い子供はこちらのタイプ)


2.排便管理の仕方
@
日常の排便管理の記録をつけること
便の性質、便の出し方、便の量などのほか、排便に関係のあるものすべてについて考える資料にする
季節ごとに便性や出方が違うか、食べ物飲み物の量や種類はどうか、運動量について、風邪薬や栄養ドリンクなどはどうか・・
などの便秘がああっ化したり下痢になったりする誘因を把握することが管理のはじまりと言える
これを表などにまとめて1−2週間単位で記入してみるとその子供の特徴がわかってくる
これを参考にして排便管理の方針を担当の先生と決めていくと良いだろう
ただし、一度決めたからそれでいいというわけでなく、成長に合わせてその人に合った排便パターンを見つけていくことが大事

A強制的排便方法
摘便;指の届く範囲まで(大体直腸の3分の1くらいまでしか指は入らない)
下剤;種類、量、時間など個人差が多い。担当の先生と要相談(下剤の反応→早くて5−7時間。遅くても24時間以内の効果が出るといわれている)※1
浣腸や座薬;食後30分くらいまでに胃−大腸反射を利用して行なうと効果的.肛門に便が詰まっているときは摘便をしてから行なう
洗腸;(逆行性)洗腸セットによるものと(順行性)手術により右下腹部にストマをつくる方法がある

どの方法をやるにしてもまずは一番楽な方法から試してみて様子を見ながら一番あった方法を試行錯誤しながら見つけていく
  またマッサージという方法もあります。右から左(時計回り)にマッサージ・腹圧をかけるとウンチの出もよくなったりすることがあります
  ただしこれは腹筋がうまくできるようになる6歳くらいまでは難しい場合もあります

3.排便管理の考え方
二分脊椎の膀胱直腸障害では、直接生命にかかわる膀胱障害については研究も進み臨床に生かされ排尿方法もほぼ確立している
一方で排便障害は生命予後との関係がないと考えられ研究等の立ち遅れが明らかで排便管理方法も試行錯誤の段階である

*発達、発育、社会生活などを考慮した排便管理
0−3歳;この時期はよく飲みよく食べられるように→便秘がちでもその子に応じて対処していく。

      (この時期はとにかく腸内にウンチを溜めずに出す事が大事)
たまりすぎると腸炎、ひどくなると大腸がんの危険性もあり
      
3歳前後はトイレトレーニングの時期なので’排泄はトイレ'と教える
      トイレトレーニングの働きかけは必要!(本人に自覚させる)オムツをはずすという気持ちを本人に持たせることが大事
      この時期にトイレトレーニングを努力しないと実際にはずす頃になって本人の気持ちがついてこない

3歳−就学前;就学前までにトイレトレーニングが完了すれば理想的。保育園や幼稚園でもずっとオムツだと周りと違うと感じるはず.この感じが大切でこの頃から管理が始まる
    便も尿も漏れない、漏らさない工夫を!
    強制排便、導尿、薬物療法など・・・

小学校〜;運動量が増える子は尿失禁増加や排便が順調になることが多い。中学・高校になるとかなり自立し、自分にあった方法(症状の固定)が確立してくる
       その子の生活パターンにあった方法があるのでこうすればよいというものはない。排便の管理の表などをつけてその子にあった方法を見つけるようにしていく

※1 代表的な下剤の種類・・・*カマ(酸化マグネシウム)→ウンチの水分を吸収してウンチ全部をだすというより、便性のコントロールとして使用すると良い
                                   下痢になりやすく後に下痢止めを飲む事になり悪循環が見られることが多い.タイムラグもある
                                   
薬を使いたくない!!と思う人におすすめ!寒天(棒状のもの)もウンチを緩くするのに効果的!! 
                                   ヨーグルトやもむヨーグルトもいいけどそれでも効かない人は試してみてね!
                   *ラキソベロン→刺激性なので量をコントロールして使うとよい
最近では新薬としてポリフルというお薬も出ました。これは腸内の水分を調節してくれるお薬です


余談ですが・・資料より膀胱機能の検査方法について
 シストメトリー(膀胱内圧検査)・・・膀胱容量・コンプライアンス(膀胱の固さ:尿のためやすさの目安) 最大尿道圧(尿道括約筋のしまり具合)括約筋筋電図(強調不全の確認)

 膀胱造影・・・膀胱の変形、逆流の有無や程度、排尿の様子などを検討

 排泄性腎盂造影(IP)・・・注射された造影剤が図具に尿になるか、尿となった造影剤が腎盂→尿管→膀胱へ流れていく様子は正常か、その時の腎盂、尿管の形はどうかなどをチェック.最近はエコーでも代用している

 DMSA・DTPA

 検尿・・・尿潜血、蛋白、糖、白血球、赤血球、細菌などのチェック

 尿培養・・・大腸菌と緑膿菌が尿路感染の二大細菌

 血液検査と尿生化学・・・腎機能を血液中データや尿電解質などをもとに計算したり腎臓が壊れて出てくるものを測定したりする・血液ガスは体内の酸素や二酸化炭素の割合を見て主に腎臓の働きを知るもの


尿路感染症について

 尿の濁りや臭い・・・透明なコップに尿を採ってみる。ごみのようなものが会っても透き通っていて向こうが見える透明なものはほぼ大丈夫。
    向こうが見えなくて不透明な時は尿混濁で、尿路感染が疑わしい。臭いは夏場や水分摂取が少ない時は濃縮尿となりツーんときついがこれは腎臓の濃縮力がある証拠で問題ない。生臭かったり便のような臭いは細菌尿(膿尿)で尿路感染と考える

 自覚症状・・・@下腹部の不快感・痛み・導尿時や排尿時に痛みがある・残尿感・血尿・尿混濁・細菌尿が上げられる
            A38.5度以上の発熱が12時間以上ある時
            B背部痛・悪寒
            →@だけの時は膀胱炎が考えられる。水分量を多くしたり手持ちの抗生物質を服用して自宅で様子を見る。症状が良くなればOKで後日主治医に報告する
            →@+A+Bの時は腎盂園(逆流か水腎症など)が考えられるのでまずは病院へ!! 
             問診と診察・尿および血液検査・エコーやX-P・・・流行している病気や他の疾患に該当なければ尿路感染症
*単純な膀胱炎でも毎月繰り返すようだとそのために膀胱粘膜が損傷されて膀胱の変形が強くなったり(コンプライアンスが悪くなる)逆流や水腎症になったりする可能性もあるので要注意!!

 

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