中央アルプス遠征

(三ノ沢岳・宝剣岳・木曽駒ヶ岳)

2004,8,6〜7

 

今年の夏期遠征はいろいろな制約があった。期日は上記の通り、お盆前の1泊2日。交通機関はクルマ。この遠征直後に伊豆の下田に直行するというものだった。クルマを運転するのは楽しいので全く苦にならないのだが、それが交通機関になることで、南アルプスは没にして、直後の伊豆という条件も北アルプスや北方面の遠征を踏みとどまらせた。つまりは交通至便、楽に登れる山を選択したと言うわけだ(笑)。

出発は5日の午後7時半。秦野を出て駒ヶ根まで一般道をひたすら行く計画だ。篭坂峠を越えて富士夜景・河口湖の花火大会を車窓から楽しんで精進道を甲府盆地へと下った。またこの夜景も素晴らしかった。

国道20号を諏訪湖まで来て小休止。またこれも対岸の夜景が幻想的だ。時計は11時を回っていたので3時間強乗り通していたことになる。茅野から高遠経由で駒ヶ根に行くルートもあったが、未知の峠越えなので帰りにとっておくことにして、諏訪湖をくるっと1/3くらい回って辰野・伊那経由の幹線ルートで駒ヶ根へと向かった。

明けて午前0時。駒ヶ根インターそばのコンビニで夜食と朝食を買い込み、菅の台バスセンターの駐車場へ。事前に観光協会に問い合せたところ夏休み中はセンターから臨時バスが出るだろう、という話だったのでそこまで行く。といっても、そこからはマイカー規制区間なのでバスとロープウエーを利用するしかない。もっともこの2つの交通機関が完備されていなかったら、この計画はなかったのだが・・・。

バス停に近い場所にクルマを停めて寝る。リクライニングを倒せば下手な夜行バスより快適だ。これなら冬の無茶苦茶寒い時期でもなければホテルに泊まらなくてもいいなー、などというせこいことを考える。今後きっと使う手ではあろうが。

外気が入れば寝苦しいことはないが、時折来場するクルマの音に快眠とはいかずにそのたびに目が覚める。熟睡した(記憶がない)のはだいたい3時間くらいだっただろうか。まあ、今回の山登りは2500メートルまでは一気なので、それだけ眠れば十分。4時には起きて(周りもそんな感じだったが)バス順を確保したりしていた。

話ばかりで引っ張ってもつまらないのでいきなり千畳敷である。標高はだいたい2500メートル。もう別世界である。何しろしらび平まではバス、そこからは毎秒7メートルで登る61人乗りのロープウエーである。行きはロープウエー1号車に乗れたのでそれはそれで計画通りだった。もっとも定員ぎりぎりまで詰め込むのでバス(補助席まで出すので立つことはほとんどない)はともかくロープウエーの景観はそこそこしか楽しめなかった。アナウンスによると滝がいくつも見えたらしい。

そして、再び写真の千畳敷だ。写真ではよく見る景色だが、ハイヒール、サンダルでここまで来れることは驚きだ。もちろん背広などでもOKだ。そこから先はそれなりの格好でないと辛いのはいうまでもないが、登ろうと思えば登れないこともない。まあ、そういう人を私は「勇者」と呼んでいるが、確かにそういう人は多いような気もした。

先日、落雷でロープウエーが止った中央アルプスである。ここまで来てしまったら相応の覚悟は必要だろう。

千畳敷駅から見た南アルプス(1)

千畳敷駅から見た南アルプス(2)と富士山

7時10分に千畳敷を出発して極楽平を目指す。もう少し千畳敷で写真を撮っていようかと思ったが先の景色が見えなくなるくらいガスが宝剣岳を覆ってしまったので先に進路をとった次第である。極楽平には7時40分に到着。「あー、準備運動にはちょうどいい登りだった」と花期の終わったチングルマの写真などを撮っていた。ちなみに今年は梅雨も駆け足で夏も猛暑ということもあって全体的にお花畑の時期は前倒しになっているようだった。よく見れば種類はそこそこ咲いているが、やはり盛りを過ぎた感は否めない。期待していたほどの「お花畑」でないことに少し力が抜けたが、花ばかり見ていても仕方がない(?)ので「このくらいがちょうどいい」と自分を納得させて、この日のハイライト「三ノ沢岳往復」を行うことにした。

と、言うわけでこの山行で見た高山植物(私が何となくわかるものだけ載せました)

 コマウスユキソウ(通りすがりの人に聞いた)

チングルマ(花は終わってました)

ヨツバシオガマとウサギギク:これも聞いた(汗)

何とかリンドウ・・・。すみません(泣)

コマクサ(この一帯で増殖しているそうです)

ウスユキソウの写真などを撮っていて、三ノ沢岳の分岐を下り始めたのが8時15分。稜線はそこそこ好天だったが、どこかしらがガスや雲で覆われてスカッと展望を楽しめるというものではなかった。特に三ノ沢岳方面はほとんど見えていなかったので、よそ様のHPで散見したいくつかのピークを越えて、そこではじめて目標の山と書いてあったので、いちいち落胆しないように戒めながら歩く。団体様2組と抜きつ抜かれつしながら三ノ沢岳頂上に着いたのは10時ジャスト。昼には宝剣岳に行きたいなー、と思っていたのでまずまずのペース。この頂上でもあまり展望はきかなかったので、アリバイ写真を撮って早々に撤収した。まあ、千畳敷〜木曽駒のメインルートに比べると落ち着いた雰囲気なのだろう。単独冥利につきる山歩きの時間を楽しめた。

極楽平より南方面

三ノ沢分岐付近からの南方面

眼下に見える天上界の庭園

往路途中で三ノ沢岳が見えました

三ノ沢岳から見たガスの切れ間の宝剣岳

三ノ沢岳頂上と小僧です

標高は2847メートルあります

天候がほんとに安定しないので(というかガスってたので撮るものもなくグングンペースを上げていけたのだが)さっさと歩いて再びの分岐は11時30分。これから宝剣岳を越えて木曽駒ヶ岳へと向かう。ここからはクサリの連続でなかなかスリリング(なんて言ってられないくらい怖い所もあった・・・)なコースである。何分ガスで視界が利きにくい所もあり、見えていないことが良かったのかどうかはわからないが・・・。とにかく三点確保、三点確保のお題目通り、(私なりの)基本に忠実に登ったり降りたりしていた。千畳敷から見るよりこの稜線を歩くのはずっと恐怖である。岩場の登降を繰り返して突き上げるような登りを終えたらそこが頂上だった。とても狭く、まあ雰囲気のある写真ならいいだろうと祠のある写真を撮るにとどまった。

雨なんかで岩が濡れていたりしたらもっともっと怖いだろうな、という場所だった。

千畳敷と逆の方角の谷。こちらは奈落の底

稜線から千畳敷。あそこからここは更に別世界

怖い・・・

これが宝剣岳山頂

標高は2931b

祠があります

ここから木曽駒方面はそんなに怖くなかったです。

宝剣岳から宝剣山荘に着いて小休止。ここはまたなだらかな場所でキャンプ場もあった。私は小屋泊りだが、この時点ではまだどこに泊まろうか考えていなかった。こんななだらかな感じの場所もいいなー、と地図を見るとこの先の中岳を越えた所にまた一軒、木曽駒頂上直下に一軒とある。ここからは稜線漫歩の色合いが強いとみたのでとりあえず木曽駒まで行ってから決めることにした。

 

 

 

 

 

木曽駒ヶ岳山頂。標高は2956メートル。今回の山歩きで一番高い場所である。

宝剣山荘からちょっと高い中岳を越えてまた登る。なだらかではあるが、三ノ沢岳の往復で飛ばしたので、もうほんとにゆっくり登る。

頂上には13時15分着。また周囲はガスなので展望はきかないが、のんびりできそうな場所なのでしばらくブラブラする。

頂上には神社があって一応御札も売っていた。私は小屋の宿泊状況を聞いてスタンプを押させてもらっただけだったが。

まあ、涼しくて気持ちのいい場所だった。

 

木曽駒ヶ岳から見た宝剣岳方面。「おお!素晴らしい!」と泊まる場所を頂上木曽小屋に決める

そんなノリで木曽小屋にチェックイン(?)。まだ14時前なので閑散とした雰囲気。

結局この日泊まった人は10人だった。

お盆前の静けさと言ったところだろうか。まあ、私が泊る時が快適であればいいので他は問うまい(笑)

駒ヶ岳直下の山小屋

うーん、いい雰囲気じゃないですか

写真は小屋前から見た三ノ沢岳の夕景。私はチェックインしてから夕食を挟んで小屋前でまんじりともせずこうした光景を撮っていた。ガスで全く視界がきかない時もあったが、そんな時があったかと思うと一転して晴れ渡り、ガスの向こうには雄大な入道雲が出ていたなどという光景も写真に撮ることができた。入れ替わり立ち替わり小屋に宿泊する予定である人達が声をかけてくるが、そんなものはごく一時のこと。じっと待っていることで収めることができた写真のなんと多いことか。

まあ、ここに来て撮っているというリピーター氏ともこうした光景を前にした写真談義はまた興味深く楽しいものだった。デジタルカメラでとっものはまあこんなもの、もう少し時間がたつと上層の絹雲が紅に染まるところなどはリバーサルの真骨頂なのではというシャッターチャンスだった。

よくぞ、この日に登った小僧ではあった。

 

翌日7日

この日は伊豆行き(笑)である。

前の日は夕方から雷雨になり、山の雷の恐ろしさを一端ではあったが思い知ることとなった。やはり迫力が違うなーと、うつらうつらする中に子守歌代わりに聞いていた。疲れている時で良かった。元気だったら「写真に撮る」なんて言って死んでいたかもしれない。

そして冒頭の予定があるので3時には起床、3時半には小屋を出た。頭上は満天の星、昨日の雷雨が嘘のようであった。西方面にはこんもりと雲海から御嶽山が見え、もちろん目の前には三ノ沢岳や宝剣岳の黒々とした姿が見えている。これなら朝日もOKだな、とロケハンは昨日歩いた場所で中岳と決めていたので4時には陣取った。

しかし、

がんばれ宝剣岳、ガスに負けるなー

まあ、一番見られたかな、という景色

ここ一番、さあ明けるぞという時にガス来襲。周囲の山々も蹂躙されはじめた。むむむむ、これでは去年の南岳の朝と同じではないか。と、その時の無念がよみがえった。果たして、ガスは濃くなるばかりで撤収するに至ったわけで、万事が思うがままいかないのがいつものパターンと割り切って千畳敷への下山へと相成った。

ただいま千畳敷に降下中。天候は下り坂。

千畳敷から見た南アルプス(甲斐駒ヶ岳)

さあ、ここからはもう降りるのみ。天候にも見切りをつけて、おまけに花期を過ぎた千畳敷だったので足取りは軽い。おまけにロープウエー駅の放送で「本日も雷の予報。落ちたらロープウエーは運行中止」を連呼しているので、まさに「今落ちるなよー」と駆け込むように千畳敷駅に着き、これまた満員の乗客をはき出したロープウエーに飛び乗った。

「やった。これで帰れる」

本当にほっとした瞬間だった。

下りのロープウエーの乗客は私一人だけ。

アナウンス嬢の懇切丁寧なマニュアル説明が車内に浸透していくようでした。

もちろん景色は絶景でした。

登りロープウエーとのすれ違い。

向こうは満員状態(こっちは2人)

秒速7メートルのすれ違いはあっという間

乗物シリーズをねらったわけではないのだが、こういう写真はボーズ・ボンズに受けるので撮っている。しかし、今回のロープウエーとこのバスには感心させられることが多かったのでこうして記事(?)にすることにした。

しらび平はすでに登りたい人達で列をなしていたが、バスの下りも乗客は私一人だけだった。バスを待っている時から、その運転手氏がいろいろ話しかけてきたのでこっちもこんな場所までバスで運んでもらって驚いている旨を話したら、このバスはメーカーが嫌がる少数の特注バスなのだと答えてくれた。フツーのバスではエンジンやブレーキが持たないのだそうだ。(往路も)一番前に乗っていて何しろ運転テクニックが「おおっ、このカーブを行くか!」と思うような所もハンドルをぐるぐる回していってしまうところなどはまさに私からすれば感動モノだった(笑)。

そのほか、このバス路線ではカモシカが出るの(見られなかったが・・・)何のと、バスなどの待機をするごとに前述の運転手氏が話してくれたので、黙って乗ってたら「第○カーブ」の標識を見て「あと○回もこんなカーブがあるのか・・・」と、車酔いの心配をしなければならないのだが、そんなこともなく無事菅の台バスセンターまで戻ってくることができた。

バス発はしらび平6時40分、バスセンターには7時10分の到着だった。

これが中央アルプス仕様(?)の伊那バス

すれ違いは無線で連絡を取り合ってスムーズ

運転手氏は「賭のようなもの」と笑っていた

あとは一路下田へ。

夏空が広がる伊那谷を高遠経由で茅野に抜け、甲府盆地から本栖道へ入り、あとは朝霧・富士・三島・天城・河津と一部渋滞にもあったものの特にストレスもなく順調にサニー君は走ってくれた。下田には午後5到着。走行距離は520キロ。いい記録ではあった。

最後の写真は高遠・茅野ライン、白眉の展望台「杖突峠」。左側の湖面が諏訪湖です。

 

あー、疲れた

 

 

 

中央アルプス遠征 

これでおしまいです

 

 

 

 

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