WAVES:SHONAI

(万波寄せる浜へ)

 

明けて元旦。めでたい限りである。
件の宿では朝食に簡単な御節と雑煮が出た。朝食としては過分である。
これから日本海沿岸を南下して庄内地方へと向かう。距離も結構あるので無理をせずに、この日は秋田に泊まることにしている。五能線でどこかいい所があったら途中下車でもしようかという魂胆である。

写真は多分白神山地周辺の山々だと思われる。列車から見てもなかなか神々しい。天候はまずまずで、海は少し荒れているがこれなら撮影がどこかでできそうな雰囲気である。と、その時はのんびりと構えていた。

 

写真は特急「いなほ」と蛍小僧である。場所は秋田。途中の写真は無い。
では、一体どうしたのか?
それは情けない話だが、天候の急変に怖気づいてそのまま東能代まで五能線を完乗してしまったのである。話を戻すと、白神山地付近を過ぎたあたりから一転俄かに掻き曇り、物凄い雪になった。申し合わせたように風も吹き、岩館あたりの海岸は波が防波堤を飲み込まんとする勢いで迫っていた。列車から見ても「凄いなー」と。実は後から考えるとその辺が一番のポイントだったのだが、この雪の中の途中下車に躊躇したのが実際である。

心の準備が中途半端だったのだろう。龍飛崎の風雪に突進していった人間とは思えないほどの腰砕けな姿勢である。JRの列車の暖房は効きすぎるくらいに旅人には快適である。そんな中にずっといたので出たくなくなってしまったのである。これが五能線でなく、もう少し頻繁に列車の走っている路線だったら・・・。まあ、今となっては後の祭りである。

そういうわけで、秋田に着いた私は川反へと飲みに行くのであった・・・。まあ、つまらぬ年明けだった。

元日から旅行記が始まっているので実にわかりやすい。この日は2日である。秋田を早朝出て、目指すは庄内浜。と、行きたいところだったが、この遊佐付近からあの鳥海山の裾野が見え始めた。以前来た時には、頂上を拝めずに撤退した経緯があるので、もしかしたら今回は見えるかもしれない・・・、と賭けるつもりで途中下車した。

駅からしばらく歩いて、何とか言う小学校のそばの田んぼで陣を張って雲が晴れるのを待っていた。結局4時間くらいいただろうか。私にしては異常なほどの忍耐である。何度も何度も期待させては裏切られた雲の動きだったが、最後まで頂上を見せてはくれなかった。どっちにしてもぱっとしない天気だったが、ロケハンを兼ねようと庄内浜へと向かうことにした。ちょっと長い道草だった感もあったが、鳥海山の撮影ポイントとしては申し分ない場所だった。再戦を期して遊佐を後にした。

 

庄内浜到着。詳しくは湯野浜温泉である。羽越本線は鶴岡で下車そこからバスに乗るのである。
天気は午前中より良くなってきて、午後の低い光線がよりドラマチックに風景を映し出していた。まあ、それでいい写真が撮れれば申し分ないのだが、この浜はゴミがいたるところに落ちていた。どこもそうだ、と言うならそれもそうだと否定はしないが、どんなレンズでフレーミングをしても何かしらゴミが入ってくる。最低である。
そんなゴミが入らない場所を、と付近をブラブラしたが、結局ほとんど収穫を得ることなく、こんな記念写真を撮ることでお茶を濁してしまった。
背後に小さく見える冠雪している山が鳥海山である。私はこの山を庄内地方から眺めた姿がとても好きである。ここでもいいところまで見えていたのだが・・・。意地悪な山である。嫌われているようだ。

鶴岡には連泊した。庄内地方としては酒田の方の規模が大きく賑やかなのだが、私はこの鶴岡という街が好きである。今回は市街地の散策こそしなかったが、街全体が落ち着いた雰囲気を持っている。庄内浜に続く撮影地の波渡崎に行くのにも鶴岡をベースにする方が便がいいという計算もあった。

さて、その波渡崎の日帰り撮影だったが、天気は雨。しかも海はベタ凪であった。もともと地味な岬なのだが、少し小高くなっているだけ、幾重にも波が来る様子が手にとるように見えると予想したのだが・・・。地理的な予想はほとんど間違いなかったが、何しろ海がおとなしすぎた。あの岩館の波がここにあればと何度思ったことだろう。

だからこんな記録写真しかない。情けなくて鶴岡に帰って、どこかの酒造メーカーに見学に行ってしまった。銘柄は「出羽桜」とか言ったかなぁ・・・。

かくして、庄内地方ではさしたる戦果も無く、ただただロケハンと情報収集だけに終わってしまった感があった。これについてはまた来ることがあったら生かしたい。

最終日は、鶴岡を朝一番に出て新潟に向かった。途中、いい波が出ていたら下車しようと思っていたのだが、前述の波渡崎や、その先の「笹川流れ」も穏やかだったのでパスしてそのまま新潟に着いてしまった。時刻は何と午前8時前。いくら何でもこれで新幹線に乗ってしまったら昼食は自宅で食べることになってしまう。それではちょっと芸(?)がなさ過ぎる。時刻表を見ると福島県は郡山に抜ける磐越西線の列車がある。ちょっと(かなりだが・・・)遠回りだが行ってみるか、と乗り込んだ。

欲がないので、結局郡山まで乗り通し、その後は各駅停車の列車で上野まで向かった。東北本線のコメントは特にないが、磐越西線は面白かった。阿賀野川のダムをいくつも越えて、山間を抜けて見る会津盆地の広く見えること。雲がかかっていたが磐梯山もそれとわかる姿を見せていた。

喜多方と若松をセットにしてまた来たいなー。そういう気にさせる風景が次々に現れては去っていった。

WAVES:庄内編 これでおしまい

WAVES三部作 完

 

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