東北プロジェクト(改・男鹿プロジェクト)
五能線編
1990,AUGUST
秋田での一夜が明け、朝早く、ホテルの目の前にある千秋公園へと向かう。目的は蓮の花の撮影である。夏の日の出前なので相当時間としては早いのだが、そこかしこで三脚を立てている音などが堀端に響いている。やはり蓮の花の撮影地としては一級なのだろう。こんなに朝早く起きるなど普通の生活ではまずないことなので、起きられること自体私にとっては不思議なことである。昨日も割と移動したのに、体もそれなりに動くので疲れはまだまだ出ていないようだった。これなら1週間くらいなら何とかなるかな、などとこの時は思っていた。
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8月22日。秋田から北に行く一番列車に乗って、八郎潟で下車。五能線の列車本数を見ても、さっさと先に行った方が良かったのかもしれなかったが、どんな所なのか見ておこうと思って降りてみた。
駅前にかかる橋を渡って、昨日寒風山から見えたような湖の名残が見られるかと思って歩き出したが、見ての通り一面の田んぼ。まっ平である。途中巨大な用水路なのか川なのかわからないところに看板があったので八郎潟干拓地の概要を地図で確認したが、とてつもなく広い場所であるということしかわからなかった。
徒労、という感じでもなかったが、車窓の眺めだけとしてもよかった場所でもあった。
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能代で普通列車を降り、五能線に乗り換える。「ノスタルジック・ビュートレイン」などと書いていたが、特別展望車つきのこれもまた普通列車だった。ちなみに展望車は写真のようなバルコニー(?)があり、おまけに冷房つきの設備となっている。しかしまあ、もともとそのような設備のないような路線で窓も開くので、そういう車両には乗らず、海の良く見えそうな左側のボックスシートをひとりで占領していた。
五能線経由で弘前に行くという発想はこの時には持ち合わせておらず、この路線の北端、千畳敷の大戸瀬崎まで行こうと考えた。ここに灯台のマークがあったので行ってみようと思ったのである。
まるで空気を運んでいるような列車だったが、最後尾の「展望車」を覗いたら、私の乗っている車両より人が乗っていた。「冷房」以外のサービスか何かあるのか?と思ったが、やはり窓を開け放していた方が気持ちがいい。そうした車両を一瞥してまたもとの席に戻っていった。
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岩館という駅あたりから五能線の白眉ともいうような海岸線沿いののびやかで迫力のある風景に圧倒される。天気は下り坂だが、まだ青空に絹雲がかかっている程度なのでアクセントとしては美しいものになっている。
途中、この日に泊まる民宿がある横磯という駅を過ぎた。本当は深浦駅のそばに宿をとりたかったのだが、どういう手違いか(ようするに場所がよくわかっていなかった・・・)、一駅離れたところに泊まることになったのである。
写真は大戸瀬崎。千畳敷からちょっとした丘を登ると灯台がある。眼下は日本海。東に目を転じればうっすらと岩木山の姿も見ることができた。
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千畳敷から再び五能線で南下し、深浦で下車。この辺では一番大きな町のようなことをガイドブックで言っていたが、印象としてはちょっと大きな漁村という感じだった。宿のある横磯まであと一駅のところだが、ここから海岸沿いの遊歩道を歩くことにした。天気が良く、夏といえどもかなり日が傾いてからなのでそれほどかったるい移動ではなかった。
景色はすばらしく、列車に乗って見る景色とはまた違ったよさがそこにもあった。
海岸沿いで、日本海に沈む夕日を撮ろうと思っていたのだが、夕暮れには水平線あたりに雲が俄かに侵出してきたのですっきりとはいかなかった。次の日から台風の影響で天気が悪くなるとのこと。まあ、明日は秋田に帰るだけなので天候はさほど気にしていなかった。
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翌、23日。雨である。と言っても昨晩は大荒れの天気だったので「さて行くか」という気になれるだけ天気もましになってきたということではある。
写真は舮作(へなし)駅で。これもまた横磯の隣の駅で、まったく移動のロスが甚だしいのだが、舮作灯台を見に行った。駅から近かったのがせめてもの救いだったが、風も相当吹いていたので写真を撮っている間だけでずぶ濡れになった。
駅で地元の人と話を2・3したが、私のしゃべり方とほとんど同じなので津軽地方の方言ってそれほどでもないのか、と思ったが、その後から来た人と地元の人同士の話になると、何を話しているのかよくわからなかった・・・。向こうの人は標準語モードと津軽弁モードを使い分けることができるのか、と新鮮な驚きだった。
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この日は、結局五能線をそのまま南下し、秋田に戻ってくるだけで終わってしまった。台風の通過のため、列車の遅れが車内放送で言われていたので、何かあって秋田に戻れないのも困るので、五能線沿線で下車するのはやめにした。台風の影響で海岸線は大荒れで、昨日横磯の海岸を歩いて見た海とはえらい違いだった。列車の本数が多ければ、防波堤を突破する大波でも撮ろうかと考えたのだが、実行することはなかった。
秋田では市街地をブラブラして、夜は川反でふらっと入った「馬」料理の店で一杯やって、ホテルへと戻った。
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次の日、また早起きして千秋公園の蓮を撮りに行った。しかし、台風通過の翌日のことなので見るも無残。ほとんど固いつぼみしか残っていなかった。それでも先日に撮れたことだけでもよしとして、せっかく早起きしたのだからそのまま羽越本線の上り始発に乗って、次の目的地、象潟へと向かった。
写真は、象潟からバスに乗って行った「奈曽の白滝」。調子に乗って鳥海山の鉾立までバスで行こうと思っていたのだが、数日前に夏季ダイヤは終了していた・・・。そんなこともあってこの滝まで来たのであるがなかなか見ごたえのある滝だった。
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この日の午後は駅でレンタサイクル(おばさん自転車仕様)で象潟駅周辺を機材を載せて疾走した。海があれば宮城の松島のようであった、と言われた景色が田んぼの中にある。なかなか面白い風景だ。平らに均そうと思えば簡単に出来そうなものを、こうして風景の一部として残っていることに感動を覚えた。
秋田県も南端で「出羽富士」とも言われる鳥海山が見えないのは甚だ残念だったが、宿が海岸に面したベストポジションだったので、レンズを通して初めて日本海に沈む夕日を見た。海水浴シーズンも終わった静かな東北の海で感動的なひと時を過すことができた。
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これが象潟の宿付近から見た鳥海山。厚い雲がかかっているため麓くらいしか見えないが、なかなかの場所である。
東北旅行も中盤を終え、いよいよ庄内へ。
シーズンが終わった民宿は貸しきり状態。20畳くらいの部屋に一人だった。
夜、海岸を散歩すると水平線近くに大きなさそり座が見えた。「おー、やっぱり緯度高いかなー」などと改めて実感している東北旅行だった。
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五能線編 おしまい
続きは、庄内編で。
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