愛し子も無事に年を越せたかと 胸撫で下ろす元日の空
もみし手をそっと包まん我の手で 冷たく過ぎし木枯らしの下
やれそこに あるのは空の みおつくし 君の笑顔に 翅を休めて
もやい掛け 留めおきたい 君の舟 甘美な満月 肩を並べて
ふわふわと泳いで見たい春の空 縁日ではしゃぐ君と二人で
君の目は 常に未来に輝いて これから始まる夢を叶える
忙しい 振りでごまかす寂しさを ふと和らげる君のその風
精一杯咲いて舞い散る桜花 君に惜しんでもらえて満足
桜色蕾膨らむ雪の果て 彩のある春はそこまで
傘を差し桜を眺めている君のスカート濡らす春の雨かな
君の好きなポップコーンのようだねと桜に語る青空の下
もう少し小降りになるまでと言いながら ここで過ごした想い出にふける
望月も明日は欠け行く徒心 せめて今宵は清く照らして
吹雪いても 積もらぬ今日は雪の果て 麗かな日はもうそこにまで
携帯を開いてみてはまた眠る 発信ボタンを今日も押せずに
あの山は 今年も君のカンバスを赤や黄色に染めるのだろう
秋桜と一緒に揺れる彼岸花 紅を好む君を慕いて
生きてゆく けれどもたまには振り向いて 君の笑顔に浸っていたい
抱きしめていてもこぼれる時の砂 残りは見えず砂の上では
夕暮れに花火の光で暖をとる 浴衣姿の君と二人で
夕涼み わずかな風に励まされ 路地から路地へと子猫は遊ぶ
純白の帽子を飛ばす花の風 駆け出す君の肩にひとひら
1つ2つ今日は咲いたか桜花 君と出会った門の向こうで
春風に 乗って舞いたる名残雪 袖振る蕾も固き桜に
物語〜秋〜(各物語:月恋さんに贈る)
忘れられ 気付いてもらえぬくらいなら 出会ったことさえ リセットしよう
堤防に 咲くコスモスが 一本の 傘で歩ける 二人を見送る
秋の夜は 長き筈なれど わが心 思い乱れて 短く足りぬ
君の事 忘れ果ててる 時ばかり 何故に世の中 慌ただしいのか
収穫も ままならぬ田畑 多いけれど それでも課すのか 宅地並みに
金のため 仕事のためにといいながら 自分で君と 会えなくしている
携帯を プラットホームで取り出して かけようか悩む こんな深夜に
物語〜色〜
いつの日か 君と夢見た庭園に ドウダンツツジ 紅に燃ゆ
今もなお 子供の頃の 秘密基地 秋グミの実が たわわに実る
一つまた一つと蕾が開かれる 花の季節か カランコエには
庭先で 君が好んだ 紫の 友禅菊が ふるえているよ
夏の日は 黄金に染まりし 大野原 これから先は 肌色になる
物語〜時〜
時を越え あの日に戻してくれたなら 君を抱きしめ 離さないのに
今はただ こうして君を 偲ぶだけ 君は偲んでくれないのにね
頑なに 自分の殻に 閉じこもり 君の出す手に 気付けなかった
何一つ 君の事情を 知らぬのに 恋焦がれていた 学生時代
もう二度と 出会えることも ないだろう けれども一目 生きているうちに
物語〜冬心〜
すれ違い いつも一足ずれていた 今ならそれに 気付いたろうに
寒い朝 待合室の一角で 背中と手とを 合わせていたね
震えてる 君へとそっと 上着かけ バスが来るのを 待ち侘びていた
メールだと きつく感じてしまうから いつも僕から 電話をしていた
外は雨 体の弱い 君なのに いつでも顔は 微笑んでいた
ありがとう 私はとても 幸せよ そんな言葉は 聞きたくないよ
※ ※ ※
まだ花咲かぬ君へ
やさしさの ゆえに心を 病む友へ 咲きし桜の 一枝を折り
二人の木
君の手の ぬくもりがほしい 花冷えに まだ実をつけぬ さくらんぼの木
八重桜 一足遅れの 春の使者 桜餅だと 君が喜ぶ
砂浜に 稚貝をまいて この夏も 親子の笑顔を 楽しみに思う
鮮やかな 躑躅の前に在りし日の 君の幻 しばし戸惑う
姿見に ポーズを決める 衣替え 娘の姿に 親父喜ぶ
在りし日の君の笑顔が迫り来る十二単の花を見るたび
梅雨前に 晴れ溜めをする 青空に 雲雀の囀り 雲ひとつなし
梅雨空に 露を集める 蕗の葉に 乗りし蛙が 心地よく鳴く
栗の花 胡桃の陰で こっそりと 実をなすときには 我はおらねど
芋の葉も 元気をなくす この夏に 第九の歓喜か 蝉の歌声
白猫が 歩く線路の 傍の溝 のたりのたりと 夕涼みかな
風が立ち 宅地の跡の コスモスと 猫じゃらしたちが 一緒に揺れる
台風の 猛烈な風に 落ちるなと 願いつつ見る 甘夏みかん
野分過ぎ また現れた 青空を 喜ぶように 歌う鈴虫
川端で 白から紅へと ほんのりと うつろいながら 咲く酔芙蓉
いつまでも 君の帰りを待っている 昔のことなど もう忘れたから
通り行く 人の心を和ませる 黄色い花こそ 千寿菊かな
また来たる 野分の前の 厚雲を 心細げに 揺れる渋柿
紺色に 衣を替えし 学生の 髪靡かせる 涼しき風かな
肩並べ 歩きし夜道の片隅に いざなうごとく 香る木犀
踏み敷いた ススキの上に 折り敷いて 食事を覗ける 笹竜胆かな
君想い 手折り手にした 藤袴 香りが誘う あの頃のように
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